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「ご飯論法」「名づけて退治の言葉」って何?流行語大賞トップテンに選ばれた意味とは?

社会

先日、流行語大賞の発表があった。年間大賞には「そだねー」が選ばれた。その他、トップテンも発表されたが、その中に「ご飯論法」と言う言葉があった。

受賞者は2人。挨拶は少々長かったが「ご飯論法」という言葉にどういう意味を持たせたかったのか、なぜ選ばれたのか…聞いてみるとなるほど、と感心してしまった。

私のように初めて、この言葉を聞いた人のために、彼らの挨拶を少しまとめてみた。

2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。

2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」

◯年間大賞
「そだねー」

その他トップテンに選ばれた言葉をそれぞれ一応、カテゴリ分けをしてみた。

◯スポーツ界
・(大迫)半端ないって
・奈良判定
・eスポーツ(将来は、オリンピック競技に加わるかもしれないので一応)

◯TV関係
・おっさんずラブ
・ボーっと生きてんじゃねーよ!

◯災害
・スーパーボランティア
・災害級の暑さ

◯社会、その他
・ご飯論法
・#MeToo

この顔ぶれ?を見て、知らないなぁ、と思ったのが「ご飯論争」
申し訳ないが、これは初耳だった。

だが、授賞式の動画で、受賞者の挨拶を聞いて、この「ご飯論争」は、言葉から受ける印象とは逆に意外と重要な意味を持っていたことがわかった。

ご飯論法とは

簡単に言えば…

「朝ごはん、食べたか?」⇒「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」

「酒飲んでるだろ?」⇒「酒は飲んでません(ビールは飲んだけど)」

というようなやり取りのこと。

「#ご飯論法」:意図的な「論点ずらし」や「はぐらかし」などの不誠実な国会答弁の手法  by Yahoo!ニュース 上西充子  | 法政大学キャリアデザイン学部教授

この言葉が生まれた経緯

受賞者は、法政大学キャリアデザイン学部教授の上西 充子さん、ブロガーで漫画評論家、紙屋 高雪さん(ブロガー・漫画評論家)の二人。

上西さんによれば…

彼女は国会審議「働き方改革」の中で当時の加藤厚生労働大臣が、のらりくらりとした論点ずらし(不誠実答弁)をするので、それを何とかわかってもらいたいと思って「朝ごはん」にたとえ、ツイートしたらしい。

それによって“ああ、そういう事だったのか、この答弁は”と広く認知されるようになった。自分も「ご飯論法」と言う言葉を積極的に広めた、という。。

このツイートをしたところ、神谷氏がリツイート。

以下は上西さんから、確認のツイートを受け、答えた神谷氏のツイート。

この様に、ネット上のどこかでやり取りされ出来上がった言葉は、さらに(広められるべくして)広まった。

ポイントは2つある。
パンを食べてたのに絶対パンを食べてたとは言わない、というところ。
どのように聞かれてもパンを食べてたとは言わない。

そして「ご飯を食べておりません」という事によって、あたかも何も食べていなかったように、質問した人をだましてしまう。

その理由は「名づけて退治の言葉」

彼女はこの「ご飯論法」と言う言葉を積極的に広めたという。

その理由は、この言葉が「名づけて退治の言葉」だから、という。

例えば
「セクシャルハラスメント」と言う言葉が広がることによって共通認識になる
セクハラという行為が抑止される

振り込め詐欺なら…
「おれおれ詐欺」「母さん助けて詐欺」とより具体的に示されることによって、“ああ、私が受けてるこの電話ってもしかして振り込め詐欺かな?”と気付ける。

そういう風な言葉として(単に詭弁だとか不誠実答弁だとか、言葉だけでは通じない)「あ、これはご飯論法なんだな、私たち騙されてるんだな」と気付けるような言葉を広めたかった、そうだ。

誤魔化されているものはなにか

そして、彼女が言いたいのは、この様な「ご飯論法」を国会でやられてはぐらかされて、結局法案が通ってしまうと、自分たちの生活に跳ね返ってくる、ということ、だ。

…単に野党が騙されている問題ではなく「ちゃんと国会審議で向き合え」という意味合いも込めている、そうだ。

以下はその話の内容

働き方改革でいうと…
「長時間労働の是正の法案」と言いながら、実際にはその中に「過労死を増やしてしまうような裁量労働制の拡大」や「行動プロフェッショナル制度の創設」と言うのが混ぜこまれていて、それをできるだけ隠して法案を出してきた。
野党がそれを追求すると、その問題に向き合いたくない、そういう指摘をひきうけたくないために、ご飯論法で、はぐらかすというのがずーっと続いた。そういう国会審議をそのまま容認していると大事な問題が審議されないまま、法案が通ってしまう。それは私たちの生活に跳ね返ってくること。単に野党が騙されている問題ではなく、そういうちゃんと国会審議で向き合えという意味合いも込めている。

神谷氏のコメント

彼は「名前を付けただけ」と言うが、感じていることは上西さんと同じようだ。

◯言葉のすり替えで、コントやってるみたいなもの
◯フェイクが積み重なっていくと政治全体がフェイクになってしまう

以下はコメントを参考に書きだしたもの。
小難しく感じるかもしれないが、言ってることは結構怖い。

森友、加計の問題でもすごく見る論法だ、政権全体にこれが広まっているんじゃないかとびっくりした記憶がある。
森友の問題で、佐川局長が「文書は捨てたことは確認した」と答弁した。
そのあと文書が出てきちゃって「あなた確認したって言ったよね?」と追及された。その時に佐川さんが「いや、確認したと言うのは、『文書は一連で捨てるというルールを確認をした』と言う意味なんですよ」と言い訳をした。
つまり「私、一般的なルールを確認しただけであって、実際に文書を捨てるところを目で現認したわけじゃありませんよ」とそういう開き直りをやった。典型的な「ご飯論法だな」と思った。
「ご飯」と言う言葉をすり替えてやると同じように、「確認する」ということを、すり替えてやるというやり方。
調べてみると官房長官もやっているし、首相秘書官もやっているし、政権全体に広がっている。
…M-1グランプリがあったが、言葉のすり替えでコントやってるみたいなもの(政権全体がコントやってるようなもの)。
昔から官僚っていうのはあいまいな答弁とか、小難しい答弁をやってたけど、そういうわかりにくい答弁じゃなくて、言葉をすり替えてフェイク(うそ)を言うそういうやり方だと思う。
国会の答弁というのは民主政治の基礎。フェイクが積み重なっていくと政治全体がフェイクになってしまうと思う。
そういうところの危機感が…(ご飯論法って聞いた時、笑う人もいると思うが)実はそれは、笑い事じゃないんだな、恐ろしい事なんだな、そういう危機感が…今回こういう形で選ばれたり受賞につながったのかなという風に思っています。

ちなみにこのご飯論法を使ったとされるのが…
・加計学園問題で5月に参考人招致された柳瀬唯夫元秘書官
・加計学園問題について答弁する安倍晋三首相
・森友学園問題で証人喚問に立った佐川宣寿前国税庁長官
その他
・巨大看板問題で追及を受ける片山さつき議員など

だそうだ。

まとめ

ご飯論争…何か新しいご飯のレシピで盛り上がっているのか?と思ったが、なんのなんの…国会答弁で「ご飯論法」があちこちで行われているという。

この話を聞いて“ああ、あの「大人とは思えない理解不可能な返答」のことだな”と思い付いた。

ない、捨てた、と言ったはずの書類が出てきたという話だ。あれは、確かに違和感がありすぎた。

ごはん食べたか?と聞かれたら、ご飯ではなくパンを食べたから「食べてない」と言う。なるほど、そう言われるとわかりやすい。

もし、リアルで、こういう会話をするとしたら…

「ご飯食べたか?」
「食べてない(パン食べたけど、言わない)」
「俺も食べていないんだ、じゃぁ、食べに行こう、」
と言われて初めて
「…実はパンを食べたんだ」
と言ったら、相手はどう思うだろう。

「じゃぁ、食ってるんじゃないか?嘘、言うな」
「嘘じゃないだろう。ご飯ではなくパンなんだから」
と、言い張るのだろうか?

あるいは、言わずに一緒に行って無理して食べるのだろうか?
でも腹がきつくなり、嫌な思いをするのは自分だ。

…ご飯論法、覚えさせていただきました。