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ピアノはなんで黒いの?

チコちゃんに叱られる

ピアノはなんで黒いの?

11月20日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」のゲストは三代目 J SOUL BROTHERSの山下健次郎と若槻千夏。

「楽器に詳しい素敵な大人」という事で岡村に選ばれたのは山下、チコちゃんに「ピアノはなんで黒いの?」と聞かれ「白の鍵盤がしっかり際立つようにかなぁ…。昔からある、ヨーロッパっぽい。…その時の職人さんが黒しか出せなかった」と関西弁のイントネーションで答える。

するとチコちゃんに「ボーっと生きてたらあかんで~」と叱られた。
「えらい関西弁で叱られたで」と岡村が突っ込む。

◯チコちゃんの答え
⇒ピアノが黒いのは日本がジメジメしているから

初期のピアノは素材の木目がそのまま見えていた

詳しく教えてくれるのは、有名ピアノメーカーでピアノの歴史について研究するピアノ研究所主幹三浦広彦さん。

ピアノという楽器は今から300年ほど前にイタリアで誕生した。

イタリアの楽器製作者バルトロメオ・クリストフォリは、1709年(年代に諸説あり)、現在のピアノの原型となる楽器を発明した。

初期のピアノの多くは黒ではなく、木目を生かした茶色系のものが多かった。

現存する当時のピアノ(1722年製 写真)は、黒ではなく素材の木目がそのまま見えている。(当時のヨーロッパで書かれた絵もほとんどが木目のピアノ)

ピアノが黒くなった理由とは

木目の色が主流だったピアノの色が現在のように黒くなったのは日本のピアノ造りにあった。

日本にピアノが伝わったのは江戸時代、鎖国中でも例外的に貿易を続けていたオランダの陸軍医シーボルトによって持ち込まれたと考えられている。
シーボルトが持ち込んだ実際のピアノもまだ黒ではなく木目のまま(写真)。

その後、1900年になると日本でもピアノ生産が始まっり、その過程で現在の黒のピアノが誕生した。

ここからは「チコっとリサイタル~黒いピアノの秘密~」として、大嵜慶子さんのピアノ演奏がおもむろに始まった。

そして、その演奏に合わせて黒いピアノが誕生したいきさつをテノール歌手の秋川雅史さんが歌うという流れに…(※ここからは、歌の部分は表現しずらいので省略します)

漆を塗ってピアノを湿気から守る

イタリアで生まれた木目のピアノは海を渡って日本に来た。
黒く染めたのは日本の漆だった。

日本は、ヨーロッパに比べ湿気が多く、じめじめした気候をしている。

ピアノの木材が湿気を吸ってしまうと変形し音色にまで影響が出てしまう

日本のピアノにはこの湿気への対策を施す必要があった。
その対策に選ばれたのが漆だった。

漆とは木の樹液を原料とした天然塗料で食器や家具などを湿気から守るため古くは縄文時代から使われていた。

塗料としては顔料を混ぜ、黒や赤にして使われるのが一般的でピアノの外側を黒の漆でコーティングして湿気から守ろうとした。

1928年製の漆塗りのピアノ(三浦さん会社が初めて作ったグランドピアノ)が紹介された。
古いものなので少し色落ちしているが、黒っぽい。

なぜ黒だったのか

「漆を塗るだけなら赤い漆でも良かったのではないか」とスタッフが聞く。

三浦さんは「実は黒い漆が選ばれたもう一つの理由があると私は考えている」と答える。

初期のピアノは非常に高価で一般家庭にはほとんど置かれていなかったが、そんな中ピアノが設置される場の中心だったのが学校だった。

現在、一般的な西洋音階は「ドレミファソラシド」だが、西洋文化が入ってくる以前の日本では「ドレミソラド」という音階が使われていた。

日本が海外の先進国と付き合っていく中、学校ではこの西洋音階を身に着けるため、先生が弾くピアノ伴奏と共に西洋音階で歌う教育が行われていた。

このように日本では教育目的で使われることからピアノにはより格式の高い黒という色が塗られたのだと考えられる。

黒であることのメリット

このような経緯で黒く塗られたピアノ、これによりあるメリットも生まれた。

黒に塗られる前のピアノでは木目が露出しているため模様が繋がるよう表面に来る素材を厳選する手間がかかった。

黒く塗ると木目が見えなくなるので表面に来る「素材の選定の手間がなくなり」「生産効率が上がり」「コストダウン」も行われた。

つまり表面を黒く塗ることでピアノの大量生産が可能になり、日本のピアノを取り巻く環境は劇的に変化する。

日本のピアノが世界へ

戦後、日本の教育方針が大きく変わり、小学校の音楽の時間、生徒にも鍵盤楽器を演奏することが求められるようになった。

これを受け、家庭でも練習できるようにとピアノの需要は急激に拡大した。
日本でのピアノの普及率は世界的に見ても目を見張るものがある。

「学校内の合唱コンクールで各クラスにピアノ伴奏ができる生徒が一人はいるなんて日本以外の国ではまず考えられない」と三浦さん。

ピアノを黒くし生産効率が上がっていたこともあり、1965年には日本のメーカーがピアノ生産台数の世界一位になった。

そして世界一のピアノ生産国となった日本のピアノは、海外にもたくさん輸出されていく。
そこで黒くする利点いも海外が注目が集まる。

木目を隠すことによる生産効率の向上に加え、塗装しているので傷がついても修理しやすいなど黒いピアノの利点は世界的に認識される。

世界的に黒いピアノが認められ、海外でも日本の技術をまねて黒いピアノを生産するようになった。

愛ちゃん情報

実は欧米でも日本のピアノが広まる前から一部黒いピアノがあった。
しかし世界中で黒いピアノが主流になったきっかけは湿気対策で黒く染めた日本のピアノの生産量が世界一になりそれが海外に輸出されたこと。

※以上11月20日NHK「チコちゃんに叱られる!」より抜粋・参照

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